限りある時間の使い方を考え直す
読んだ本
限りある時間の使い方
Amazon.co.jp: 限りある時間の使い方 eBook : オリバー・バークマン, 高橋璃子: 本
読む動機
現状、自分の仕事をブルシットだと思っている。それに対して時間を使って対価を得ることに違和感を覚える。もっと自分にとって心の底から興味のあることを仕事にできた方が充実感を得られるのではないだろうか。あるいはもっと世の中に価値を提供できると感じることができれば、効率化でもなんでも追求するのだが。
概要と感想
よくある自己啓発本のように、効率的なタスクのこなし方やタイムマネジメントについて論じている本ではない。
限られた人生の時間をいかに過ごすかを心理学や哲学の観点から論じている。
常に物事が計画通りに行くかを心配し、何をやっている時も将来の役に立つかどうかを気にしている。
まさに自分はこの通り。
だから趣味などに没頭できないし、ゲームなどの後には罪悪感もある。
勉強してたくさん稼ぐことが善だと思って生きてきたから仕方がないことではある。
タイムマネジメントや生産性にこだわることで、人生のもっと重要なことから目を晒すことができる。
現代人がいつでも忙しく生きている理由の大元がここにありそうだ。
みんな立ち止まって考えることを恐れているのかもしれない。
不安があるから、忙しさに没頭して現実逃避している。
僕自身、与えられた目標や世間的に善とされている目標に向かっていくことは得意だ。
SNSなどの影響により、やりたいことや誘惑はどんどん積もっていく。 しかし、それらの活動全てを体験することは現実的ではない。何か一つの活動を行うと言うことは、それ以外の活動全てを犠牲にすると言うことだ。
空想の世界ではあらゆる選択を実現することができる。
しかし、現実は多くの選択肢を犠牲にしなければならない。それは当然のことだ。
そのような現実から逃避するために、人は優柔不断になり、先延ばしをする。
今の自分は、エンジニアを続けることも転職することも考えるし、都会に住むか田舎に住むかも考えている。
考えることによって、空想の中で両方の選択肢を味わっているのだろう。
だがそれは現実ではない。
多くの人が今の時間を未来のために費やしている。 高校はいい大学に入るため、大学は会社で稼ぐため。 結果を先送りすることで現実から目をそらしている。
自分も、働くのも本を読むのも勉強するのも、未来のためだ。
今を充実させる方法をもっと考えよう。
ノマドワーカーやフリーランス、フルリモートなど時間や場所にとらわれない働き方が浸透してきた。しかし、幸福感という観点では、周囲の人と同じタイミングで休む方が優れている。
世界を旅しながら働くなどキラキラした感じに聞こえるが、実際には孤独感に苛まれているのかもしれない。
実際、自分も休学しているときは強い孤独感を感じていた。
幸い、気の利く友人が多くて助かったが。
何か重大なことを成し遂げたり偉大な人物になろうとすれば、動けなくなる。
世の中をもっと良くしなければという使命感にも共通するものがある。
しかし、世界に大きな変革を起こした人間はごくわずかであり、それが自分である可能性は客観的に見てゼロに近い。
別に自分はダメだと思うわけではない。
単に自分は世界や宇宙規模から見ればありふれたちっぽけな存在であり、それを受け入れて生きていきたい。
誰か一人の人間の役に立てているならありがたいことだ。
楽な方に流されればいいというわけではない。
自分は完璧ではなく偉大でもないという事実を受け入れた上で、自分がやるべきことをやる。
まとめ
もっと世の中に価値を提供できる人間にならなければならないという使命感を持っていたが、この本を読んでいい意味で諦めがついたと思う。
生じっか高等教育を受けてきて、ビジネス書などもたくさん読んできたので、成功したい欲求もあったが、くだらないことだと思い始めた。
そもそも成功するかどうか、金持ちになるかどうかなどほとんど遺伝子と生まれた環境で決まると思っているので、別に自分を卑下するような感覚もない。
学生時代は海外を旅しながら自由に生きていきたいと思っていた時期もあったが、おそらく自分を不幸にするだけだろうな。
また、将来のために勉強したり本を読んだり、やりたいことを我慢したりして生きてきたが、現にそれでうまくいかなかったので、もっと自分に正直に、今を大切にして生きていきたい。
ひとまず、Evernoteに書いていた目標を全部消してみた。