書評: テスカトリポカ
読んだ本
テスカトリポカ
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第165回直木賞受賞作。
今でも麻薬カルテルに支配されている地域があると思うと、自分は恵まれた環境にいると思う。
アステカ文明では生贄を神に捧げることで集団の秩序を保っていた。
血の歴史と言われるが実は現代もあまり変わらないということにこの本を通して気がついた。
知ってか知らずか、どこかの誰かを犠牲にすることで、みんな生きている。
学校や職場でのいじめ、途上国の安い労働力、格差。
人間に限らず、動植物についても同様である。
森林や海洋の生態系を犠牲にして、人類は発展したとも言える。
遠い国の昔の文明と、現代社会の類似性について考えていた自分にとっては、コシモの身体能力がファンタジーというか、非現実的すぎたのは残念。
ドラッグや臓器売買、アステカ文明など、日常生活ではあまり接点のない世界について知ることができた。
舞台もメキシコ、インドネシア、日本など様々で面白い。
現地に行ったことがあれば舞台を想像しやすい。
自分はインドネシアにはいったことがあったので、屋台の鳥料理などを思い出した。
メキシコは行ったことはないが、この本を読んだら行きづらくなった気がする笑
ダークウェブや臓器売買、麻薬売買などが、日本にも存在するのかと思うと、緊張感がある。
恵まれた生活をしている自分には見えないだけで、色々な世界があるのだろう。
それらを根絶することがいいのかどうかは、よくわからない。
規制などを通して外的に根絶するのではなく、豊かな社会を実現して、そもそもそれらが不要な世の中になればいい。
かなり綺麗事ですが。