書評: 宇宙ビジネス入門
読んだ本
宇宙ビジネス入門
宇宙ビジネス入門 NewSpace革命の全貌 | 石田 真康 |本 | 通販 | Amazon
入門と言っているが戦略の立て方やビジネスモデルの考え方はなく、「概観」という言葉が近い。
当時 (2017年) の各国の動向 (政府、大企業、ベンチャー) が並べられている。
農業への応用や人工流れ星など知っているものも多かったが、様々なビジネスモデル、ベンチャー企業が存在していることがわかった。
ただ、この本の出版から4年以上たった今、当時の予測に対して宇宙開発は遅れていると感じざるをえない。
もちろん、コロナ禍など当時には想定されていない問題も起こったいるわけで、致し方ない側面もある。
だが、日本はアメリカや中国、ヨーロッパに対して遅れを取らないかが心配だ。
技術的な強みはあるが、自ら市場やビジネスモデルを開拓していくことはまだまだ苦手な国だと思っている。
はやぶさ2の帰還は素晴らしい成果であるが、(そして日本だけで実施されたわけでもないが、) ビジネスではない。
日本でも起業家育成プログラムが大学などでも推進されているが、やはり欧米諸国の方がその点の経験も豊富で、差が縮まっていくとは信じ難い。
とはいえ、そのような取り組みに意味がないわけではなく、多くの若者がむしろそのようなプログラムに触れる機会を手にできるようにする必要がある。
今までは宇宙開発に携わるのがほとんどエンジニアで、国の機関か重工系企業しか選択肢がなかったのに対して、いまでは様々な組織において、様々な人材が必要とされている。
多様な人材が各自の強みを生かして宇宙開発を進めていく時代だ。
宇宙開発のためだけにエンジニアの道を選ぶ必要はない。宇宙飛行士を目指す必要はもっとない。
今の自分は宇宙関係の研究から身を引いたが、いつか自分の能力を存分に発揮できると思えるチャンスがあれば飛び込んでいきたい。
宇宙飛行士ではなく旅行客として月に行きたいな。